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労働時間・休日休暇

公開日:2014/09/24

年次有給休暇

有給休暇はアルバイトやパートには適応されないと思われがちですが、雇用形態は一切関係ありません。では、正社員と同じ日数を与えなければならないのでしょうか。3つの重要なポイントを押さえておきましょう。

日数も時間も正社員に比べて負担は少ない

年次有給休暇(以下、年休という)は、従業員の心身の疲労回復のほかに、ゆとりのある生活をしてもらうことを目的としています。年休をどのように使うかは従業員の自由とされていますが、最近はこれを当然の権利として、自由奔放に使う従業員が増え、その対応に苦慮しているというご相談が増えてきています。
年休を理解するために押さえておくべきポイントは、①年休の付与要件、②時季指定権、そして③時季変更権の3つです。

①年次有給休暇の付与要件を理解する

年休の付与要件は以下の2つとなっています。
(1)労働者が雇い入れられた日から起算して6ヶ月以上、その後は1年以上継続勤務したこと
(2)最初は前6ヶ月、その後は前1年間において全労働日(所定労働日)の8割以上出勤したこと
ここでいう労働者には、正規の労働者(いわゆる社員)のほか、パートタイマーやアルバイトなどの労働者も含みます。時々「アルバイトだから年休を与えなくてもよいのでは?」という事業主の方もいらっしゃいますが、雇用形態は一切関係ありません。
さて、パート・アルバイトにも年休を付与する必要がありますが、正社員と同じ日数の年休を与えなければならないわけではありません。与える年休の日数は、勤務しなければならない日数、いわゆる所定労働日数によって下記のように決まっています。
なお、パートやアルバイトの場合、社員同様8時間の年休を付与するということではありません。1日の所定労働時間が4時間であれば、4時間の年休を与えればよいことになりますので、パート・アルバイトに与える年休は、日数も時間も正社員に比べ負担は少ないのです。なお与える年休の日数は、年休付与日時点での所定労働日数によって決まりますので、ご注意ください。

②時季指定権を理解する

年休は、継続勤務と8割以上の出勤を条件に、法律上、当然に労働者に与えられる権利ですが、使用者は年休を労働者の請求する時季に与えなければならないとされています。これを労働者の時季指定権といいます。この年休の時季指定については、労働者による請求や使用者による承認などといった手続きをいれる余地はなく、労働者が「この日に年次有給休暇をとりたい」と時季を指定すれば、当然に取得することができてしまうというものです。よく労働者に申請書を書かせて上司が承認するという手続きがありますが、年休は原則として申請や承認を要しない、労働者に法律上与えられる当然の権利であることは、理解しておく必要があるでしょう。

③時季変更権を理解する

しかし、労働者の時季指定権を無制限に認めてしまうと、企業の運営に重大な支障を来たす恐れがあります。そこで事業主は、請求された時季に年休を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季に与えることができるとされています。これを使用者の時季変更権といいます。ただし、恒常的に人員不足である部署において、代替要員を確保することが困難である場合については、「事業の正常な運営を妨げる場合にはあたらない」(西日本ジェイアールバス事件 金沢地裁 平成8年4月18日判決)とした裁判例もあるため、単に人員が不足していることを理由に時季を変更させることは難しく、例えば、事業場で同時に複数の労働者が年休を請求した場合のみ時季変更権が使える、と理解しておくとよいと思います。
 なお、退職時に退職願と一緒に有給を請求してきた場合には、事業主はこれを拒否することはできません。「年休の権利が労基法に基づくものである限り、その労働者の解雇予定日を超えての時季変更権行使は行えない」(昭和49年1月11日 基収5554)という通達があり、これは自己都合退職の場合も同様であると解されています。冒頭のケースのように退職時に、退職日まで年休を使いたいといわれてしまえば、その時季を変更するよう命令することはできないのです。
 よって具体的な対策としては、本人との話し合いを通じて退職日を調整する、といった対応を取ることが通常です。
また、年休を取得した際に支払われるべき賃金は、以下の3つのいずれかとされています。
1)平均賃金
2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
3)健康保険法の標準報酬日額に相当する金額

 1)、2)のいずれによるかはあらかじめ就業規則に定めておく必要があり(労働基準法第39条第6項)、3)については労働者の過半数で組織する労働組合、組合がない場合は労働者の過半数代表者との間で労使協定を締結することになっています。実務的には、2)の通常の賃金を支払っている企業が多いのではないかと思います。

ここで問題になるのが、パートが年休を取得した場合に支払う賃金額を如何に設定するかです。例えば雇用契約書において1日の所定労働時間が6時間といったように固定されている場合は、上記の1)から3)のいずれの方法によっても、特に問題はありませんが、例 えば、月曜日が4時間、水曜日が6時間というように曜日によって所定労働時間が変わってくるような場合には、2)の方法で支払うことになっていると、休む曜日によって手当額が変わってしまいます。

年休取得の際の賃金額についてはその取扱いを就業規則において定めることとなりますが、こうしたパートタイマーの状況を前提に考えると、1)の平均賃金に基づき手当を支給することが有効です。
これにより、いつ年休を取得したとしても労使双方にとって公平な取扱いができます。ただし、平均賃金とした場合、毎回、平均賃金を計算する必要があるため手間が残ることに注意が必要でしょう。

■関連法規
労働基準法 第39条第6項
 使用者は、第1項から第3項までの規定による有給休暇の期間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、平均賃金又は所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間について、健康保険法(大正11年法律第70号)第99条第1項に定める標準報酬日額に相当する金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。

■参考リンク

中川公認会計士税理士事務所

中川公認会計士税理士事務所

平成17年開設、公認会計士・税理士・社会保険労務士など各分野の専門家が在籍し、会社設立業務・税務代理業務から株式公開支援業務・事業承継サポートまで幅広くお手伝いさせていただいています。経営革新等支援機関に認定され融資にも強い実績があります。
また、業務規則作成業務や各種規則見直しなどの労務関係の提案・助成金申請代行業務など幅広く関与させていただき、常に「お客様目線でサービスできる会計事務所」を心がけております。お気軽にご相談ください。 (中川公認会計士税理士事務所ホームページ

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