突然連絡が取れなくなったアルバイトがいます。どうしたら良いでしょうか?
アルバイトを採用したのですが、数日後に無断で欠勤し、そのまま連絡が取れなくなってしまいました。このアルバイトを自己都合退職扱いにできますか?その場合、どんな手続きが必要になるでしょうか。
就業規則などに、退職に関する条項を設けておきましょう。
雇用者の意思のみで自己都合退職扱いにはできない
本人からの退職の意思が確認できていない場合には、勝手に自己都合退職にはできません。
この場合は「雇用者側に連絡の意思があるにもかかわらず、アルバイトと連絡が取れない」状態なので、懲戒解雇を考えていくことになります。
「解雇の意思表示」とは
従業員を懲戒解雇するためには、就業規則などで「正当な理由なく無断欠勤が○日以上続いたときは懲戒解雇とする」と明記し、従業員に知らせておく必要があります。そのうえで「解雇の意思表示」を行わなければなりません。
アルバイト本人と連絡が取れない以上、「解雇の意思表示」を相手へ到達させることは困難です。このような場合、本来は民法第98条の「公示送達」という法的手段によって、懲戒解雇の意思表示の到達擬制を行います。
就業規則などに条項を明記
しかし、公示送達は一定の手続きと手数料がかかるため、行わない企業も多くみられます。そこで、近年では、就業規則や労働契約の中に、「会社からの出社の督促にも関わらず、一定期間以上の無断欠勤を行った際には退職とする」という条項を設けておき、「解雇」ではなく「退職」とすることがあります。
懲戒解雇の場合でも、労働基準監督署長による解雇予告の除外認定を受けない限り、解雇予告もしくは解雇予告手当の支払いが必要になりますので、ご留意ください。
[関連法規]
民法 第97条(公示による意思表示)
意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。
2 前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法 (平成八年法律第百九号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載し行う。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。
3 公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
4 公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する。
5 裁判所は、表意者に、公示に関する費用を予納させなければならない。
労働基準法 第20条(解雇の予告)
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2 前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。
3 前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。
回答:ツナグ働き方研究所
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